割安でも売られる日本株 円安で大損の外国人投資家が見切り
今年は、高インフレ、金融引き締め、ウクライナ戦争、エネルギー危機、景気後退懸念などなど株式市場には悪材料のオンパレード。それで世界中の株下落が止まらない。
この状況で、日本株が割安であることが市場関係者のコンセンサスになっている。その理由は、①金利:世界で日本だけがマイナス金利を継続し、株などリスク資産への投資に有利な実質金利のマイナス状態が続いている。②景気:IMF(国際通貨基金)の23年世界経済の実質成長見通しで、米国1.0%、ユーロ圏0.5%に対して、日本は1.6%と先進国で最も成長率が高い。③企業業績:欧米企業のリビジョン(アナリストによる業績予想の変化率)はマイナス圏に転落したが、日本企業はプラス圏である。④投資尺度(バリュエーション):足元の米国株の予想PERは15倍台だが、日本株は11倍台と低い。
ところが、日本株は買われるどころか、米欧株にツレ安し、相場底入れの兆しが見えない。米欧諸国と異なり、ファンダメンタルは悪くない日本なのに、なぜ株が買われないのか。
それは、東証の売買代金のほぼ7割を占めるメインプレーヤーである外国人投資家が円安を嫌い、「日本株離れ」を起こしているからだ。円安による企業業績の押し上げ効果をかつてほど期待しにくいなか、ドル建てで日本株を買っているから、円安進行とともに資産は目減りし、二重に損をしている。22年4~9月の「ドル建て日経平均株価」は約2割下落である。これを嫌って売る姿勢を強めているのだ。外国人投資家は、今年の上半期(4~9月)に現物株を1兆5281億円売り越した。