著者のコラム一覧
姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

オーバーツーリズムに住民の我慢も限界…政府は「訪日観光客6000万人」目標も現場の実情とは大きく乖離

公開日: 更新日:

 オーバーツーリズムによって観光地の住人の生活が大きく変わっている。京都市で、多くの外国人観光客を乗せたバスは“住民の足”ではなくなった。在住のAさん(30代女性)は「移動にものすごく時間がかかるようになった」と嘆く。「観光エリアに近づけないどころか、行きつけの店も予約が取れなくなった」とも。同じく京都市民のBさん(60代男性)は「大声で騒ぐ傍若無人な観光客が増えた。知人の誰もが迷惑がっている」と訴える。

 鎌倉(神奈川県)の「受け入れ能力」も限界に近づいている。「鎌倉駅はホームの幅が狭い。落ちないように観光客を避けながら必死の思いで歩いています」とCさん(50代女性)は言う。鎌倉は狭い範囲に観光客が集中する町で、海も近い。「災害や津波が起こったときのことを考えると本当に不安です」(同)

 金沢(石川県)にも外国人観光客がどっと押し寄せる。「JRのみどりの窓口は外国人観光客も並んで2時間待ち。特急券の払い戻しには金沢駅から30分以上かけて宇野気駅まで行った」(Dさん.60代男性)

 一方、外国人観光客の誘致に必死だという自治体もある。和歌山県在住のEさん(60代男性)は「和歌山県も誘客に熱心だが、地元にはホテルもなければ、人もいない。ドッと来られても対応できない。それどころか来れば来るほど物価が上がり、庶民の生活はもっと苦しくなる」と嘆く。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  2. 2

    進次郎大臣は連日の視察とTV出演で大ハシャギ…ムチャぶりされる農水省は“ブラック企業化”のお気の毒

  3. 3

    ドン・キホーテが進次郎農相に異例の「直訴」…コメ流通は消費者ファーストではないのか? 識者が解説

  4. 4

    三井化学が石油化学事業を分社化…その先で描くのは過剰な同業他社との再編だ

  5. 5

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  1. 6

    自公政権の無策で失われていく庶民の味…「カレー」「ラーメン」「焼き肉」「洋菓子」「ステーキ」すべて倒産件数最多

  2. 7

    進次郎農相「コメ卸業者が営業利益500%増」発言で飛び交う「価格カルテル」疑惑と「コメの先物取引」で懸念されていたこと

  3. 8

    6月15日に開催G7サミットはトランプ関税で「会議は踊る、されど進まず」状態に

  4. 9

    マツキヨココカラ×コスモス薬品 節約生活の味方ドラッグストア大手を比較

  5. 10

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも