賃下げの嵐へ…安倍政権が狙う「外形標準課税」強化の陰謀
安倍政権が新成長戦略の目玉に据えた法人税減税。現在の実効税率(東京で35・64%)を段階的に引き下げ、数年でドイツ並みの20%台にするというもの。そのためには3兆円の財源が必要となる。財務省が狙う代替財源の大本命は赤字企業にも課税する「外形標準課税」の強化だ。現在は資本金1億円以上の大企業にしか適用されていないが、中小企業にまで裾野を広げようとしている。
「外形標準課税」は事業所の床面積や資本金、従業員数など、「外形」から課税ベースを判断して税額を算定しようという課税方式だ。なんとなく公平な税制に見えるが、赤字の中小企業に適用しないのにはワケがある。強化すれば日本中に“賃下げ”の嵐が吹き荒れるからだ。
■人件費が高いほど課税額が増える
立正大客員教授の浦野広明氏(税法学)がこう言う。
「外形標準課税は中小企業の経営を圧迫するだけではありません。企業が生み出した税法上の『付加価値』に応じて課税する側面があり、税額算出のベースとなる『付加価値』には従業員の給与や退職金、利払い費が含まれます。つまり“人件費”を多く払う企業ほど税負担が重くなる。外形標準課税の負担を減らすには賃下げに踏み切るしかありません」。要するに、総人件費が多いほど課税されるから、企業は賃下げせざるを得なくなるというのだ。