高野孟
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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

農協を潰せば農業がよくなるという妄言の裏にあるもの

公開日:  更新日:

 自民党の稲田朋美政調会長が17日、自分の地元の福井でJA組合長や農業者を集めて「農協改革」の説明会を開いたが、参加者からは「自民党の農政が失敗だったことの反省が先だ」などの厳しい意見が噴出して、ほとんど立ち往生の状態に陥った。それもそのはずで、弁護士時代かられっきとした右翼活動家であり、たまたま05年の小泉郵政選挙で「刺客」としてこの地に舞い降りただけの彼女に、農業・農政・農協の「の」の字も分かるわけがない。

 そもそも安倍政権の農協改革というのは意味不明で、対象とされた農協さえ「一度も政府から明快な説明を受けたことがない」と首をかしげている代物である。発端は、規制改革会議が昨年5月に、農協中央会を廃止し、経済部門の全農は株式会社化し、単位農協から金融部門を外し、農業委員会制度を変えて農地を流動化させることを通じて「農業に競争力を導入し成長産業化する」との提言を出し、安倍晋三首相がこれに沿って改革断行を表明したことにある。が、この提言は農業の実情を何も知らない素人の幼稚な机上の空論にすぎない。農協を潰して大企業が好きなように活躍できるようにすれば農業が成長産業になる? 自然相手の農業は、工業と違って合理的な経営計画など立たない。天候の具合でたまたまキャベツの産地で例年より1割増産になっただけで価格が3割も下落してせっかくの作物を捨てるしかないといった非合理が平気で起きるのが農業というものだ。それでも農家は、先祖伝来の田畑を守るために耐えて耐えて、これまで何百年もそうしてきたように、その不条理を生きるだろう。しかし、株式会社は利益が出なければすぐに撤退する。

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