高野孟
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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

白を黒と言いくるめる政府と日銀の詐術

公開日: 更新日:

 安倍晋三首相が「戦争法案」を「平和安全法案」と言い換えたり、放射能汚染水のダダ漏れが止まらない福島第1原発を「アンダー・コントロール」と言い切ったりするのは、言葉遊びも度が過ぎて、白を黒と言いくるめる詐術だが、もうひとりそれを得意にする人がいる。黒田東彦日銀総裁である。

 彼は22日の金融政策決定会合の後の会見で、4月までは「緩やかな回復基調にある」としていた景気判断を、「基調」を外して「緩やかな回復過程にある」と変更し、それを「半歩というか一歩というか、見方を前進させた」と説明した。マスコミの解説によると、これは景気判断の「上方修正」なのだそうだが、一般国民にはまったく理解不能な日本語である。

 これには前例があって、昨年3月までは黒田は、「緩やかな回復」と言っていたのを、4月の消費税アップで消費がガクンと落ちて物価も下がったのを受けて「基調的には緩やかな回復」と、「基調」を付け加えた表現に変更した。これは、事前に「消費増税の影響は軽微である」と言っていた予想が大外れして慌てた黒田が景気見通しを「下方修正」したことを意味していたのだという。消費増税の影響が大きかったことを口が裂けても認めたくないので、「基調」の2文字を付けたり外したりして、その意味を知っている市場関係者にだけは密かにサインを送っているわけだ。これでは景気の動向について国民に本当のことを知らせないためのマインドコントロールに等しい。

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