自民党「参院選挙制度改革」のご都合主義
まず、全ての前提として、議員は「人間」の代表であり畑や林の代表ではない……という世界の常識を確認しておく。その上で、日本国憲法も選挙区ごとの議員定数の均衡(つまり投票価値の平等)を要求しており(第14条)、最高裁もそのことを再三確認している。
にもかかわらず、自民党は2012年に党議決定した改憲草案で、選挙制度は「人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」としている。これは、「人口比例原則」の骨抜きである。
しかし、政治の仕事が権力を用いて、国家の有限な資源を、利害が対立する国民の間に強制的に配分し、各人の天賦の自由を国家の名で制約することである以上、政治権力者(議員)たちの座席は人口に比例して公平に選出される以外にあるまい。
にもかかわらず、人口の他に都道府県の区分などにも配慮して議席を配分し、場合によっては不均衡が生じても構わない……という自民党案は本質的に論外である。
最近まで自民党は、この草案で参院選挙区の合区(鳥取・島根、徳島・高知)を解消する改憲を主張していた。