著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

徳川義親は「ぼくは人を殺害するのは好かん」と言った

公開日: 更新日:
インドで射止めたトラの敷物を足下に得意の徳川義親候爵。熊狩で名高い同候爵はマレー半島遠征のトラ狩りを計画中=1929(昭和4)年2月26日(日本電報通信社撮影)

 徳川義親については、昭和史に関する多くの書でも、なかなか正体が不明といったニュアンスで語られている。その理由は、徳川の動きが右翼とか左翼といった枠内では捉えられない幅広さを持っていたためであろう。21歳の時に福井の松平家から尾張の徳川家の婿養子になっている。つまりその家督も継い… 

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