関税交渉決裂をどう見るか 石破は持たないだろうが、国民にもそれなりの覚悟は必要(前編)
自動車関税をひっくり返すのはほぼ不可能、日本はこの際、産業構造の転換が必要だ

案の定、相手にされなかった赤沢交渉。成果ゼロの振り出しは戦略ミスか、交渉能力か、相手が悪いのか。現実的な妥協が必要なのか、突っ張るべきか。その場合のリスクなど、国民にも問われる変容した対米関係。
予想されていた以上の展開に衝撃が走っている。トランプ米大統領が7日、日本からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明したことだ。
鉄鋼・アルミニウムや自動車など分野別に設定している関税とは別で、トランプは相互関税の上乗せ分の停止期限を9日から8月1日に延期する大統領令にも署名した。
これまで日本に対する相互関税は一律の10%に上乗せ分を合わせて24%としてきたが、これを上回る水準に設定。日本は関税措置の見直しを求めて交渉を続けてきたものの、さらなる高関税を突き付けられた形だ。
トランプは石破首相宛ての書簡で「貿易赤字は米国の経済、国家安全保障への大きな脅威だ」と強調。「25%という数字は貿易赤字をなくすために必要なものよりもはるかに小さいことを理解してもらいたい」として、あらためて米国内への生産移転を要求。一方で、市場開放や非関税障壁の撤廃などを希望すれば「書簡を修正するかもしれない」とも指摘しているが、予測不能のトランプのことだ。この先、どう気が変わるか分からない。
いずれにしても、案の定というのか、結局、日本の交渉窓口を務めた赤沢経済再生相は相手にされなかったということだ。
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,406文字/全文2,027文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】