在宅を選んだ92歳女性「ゆっくりだけどいろんなことを楽しみながらやってます」
在宅医療を始める患者さんの中には、「どうしてこんな病気になってしまったんだろう」「このまま死んでしまうのは悔しい」と、病気という現実をなかなか受け入れられず、深く落ち込んで塞ぎ込んでしまう方もいらっしゃいます。そうした思いを周囲に漏らしながら、自身の不満を繰り返し口にし、日々をなんとか過ごしている姿を私たちは目にします。
一方で、ご自身の状況を静かに受け入れ、不満があっても残された時間に感謝し、限られた日々を大切に過ごそうと前向きに生きる方もおられます。
ある92歳の女性患者さんも、そんなお一人でした。大きな病気はなかったものの、加齢に伴う筋力の低下から転倒を繰り返し、外出が困難になったため、在宅医療を選ばれました。
「筋力が落ちるとバランスを保てなくなって転びやすくなるんです。人間って本来、常に転びやすいんですが、それを筋力で支えてるんですよね」(私)
「なんだか体がふらつくのよ。だからショッピング用カートにつかまって歩いてるんです」(患者)