「お布施のからくり」清水俊史著

公開日: 更新日:

「お布施のからくり」清水俊史著

 法事の折、お布施をいくら包めばよいかわからず、僧侶にたずねると、よく「お布施はお気持ちです」と言われる。葬儀においてお布施の金額の違いが戒名のランク程度しかない場合、「お気持ち」がどのような意味や価値を持つか理解しづらいのが実情だ。

 調査によると、日本人の多くは特段強い信仰心は持っていないが、先祖は尊ぶ傾向にある。よって葬式や法事も、先祖供養に意義を認めているからで、特定宗教に対する信仰心に根差しているわけではない。ゆえに「お布施はお気持ち」と言われても高額を包もうという心境にはならないし、むしろ適正価格が不明なことに困惑するのだ。

 本書は僧籍を持つ仏教学者が、初期仏教までさかのぼり、お布施の在り方をたどり、現代におけるお布施の意義を改めて考察した問題提起の書。

(幻冬舎 1034円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  3. 3

    「地球を救う前に社員を救ってくれ!」日テレ「24時間テレビ」が大ピンチ…メインスポンサー日産が大赤字

  4. 4

    仰天! 参院選兵庫選挙区の国民民主党候補は、県知事選で「斎藤元彦陣営ボランティア」だった

  5. 5

    たつき諒氏“7月5日大災害説”を「滅亡したんだっけ」とイジる古市憲寿氏に辛辣な声が浴びせられる理由

  1. 6

    参政党・神谷代表は早くも“ヒトラー思想”丸出し 参院選第一声で「高齢女性は子どもが産めない」

  2. 7

    兵庫は参院選でまた大混乱! 泉房穂氏が強いられる“ステルス戦”の背景にN党・立花氏らによる執拗な嫌がらせ

  3. 8

    「国宝級イケメン」のレッテルを国宝級演技で払拭 吉沢亮はストイックな芝居バカ

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  5. 10

    近年の夏は地獄…ベテランプロキャディーが教える“酷暑ゴルフ”の完全対策