「音声と写真でよみがえる昭和戦前編」保阪正康著
「音声と写真でよみがえる昭和戦前編」保阪正康著
昭和3年11月6日、昭和天皇・皇后が、京都で行われる即位の礼のため、皇居から馬車で東京駅に向かう様子がラジオで実況放送された。行幸の列を写した写真も残っている。「マイクロフォンの据え付けてございまする宮城前の広場」という実況を聴いた保阪は、実況というより朗詠のように感じた。
昭和初期は失業者や就職難の学生も多く、工場の煙突に登って労働争議を煽動する演説をする男もいた。「煙突男」と呼ばれたこの人物は、6日間も煙突の上に居座ったという。
「昭和100年」を記念し、NHKに残る音声と写真を見て、保阪と元NHKアナウンサー村島章惠が語る対談集。
(NHK出版 2200円)