【特別寄稿】川上哲治元監督を悼む(中村稔・元巨人投手コーチ)
それを肝に銘じた私は翌年、初めて20勝(4敗)を挙げ、チームも9年連続日本一のスタートを切った。
<節目節目でお世話に>
監督として厳しかった。特にV9の最初の頃はキャンプでは練習に行く前に、いまでいうウエートトレをやった。椅子から下りたり上ったり、ボートをこいだりする。そしてグラウンドへ出発する前には、「きょうやることを思い浮かべてやれ」と座禅も組まされた。心身ともにしっかり準備をして練習に取り組む。練習が終われば門限ギリギリの夜10時までミーティングだった。
野球では節目節目でいつもお世話になった。グラウンドを離れてもゴルフ、釣り、麻雀とよくお供したり、一緒に楽しんだ。
私が二軍投手コーチのとき、川上さんがよくファームの試合を視察に来た。記者の皆さんは、わざわざ二軍の試合まで見にくるとは、さすがに川上監督は熱心だ、と感心していたが、私と釣りやゴルフの日程調整をするためでもあった。そんなことも今では懐かしい思い出だ。
本当にありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。