「選手同士が注文を付け合う」 吉井理人が明かすヤ軍の“流儀”
伊良部も含めた当時のヤンキースの先発はクレメンス、ペティット、コーンら。2ケタ勝つのが当たり前の投手たちだからこそ、チームのために内角攻めをしてなおかつ自分の投球ができた。当時とメンバーは代わっているものの、求められるスタンスは変わらない。勝利に貢献して、個人成績も残せない選手はヤンキースでは生き残れないのだ。
■伊良部もつたない英語で叱咤
僕は01年、エクスポズで伊良部とチームメートだったときに、そんな話を聞いた。クレメンスはこんなことを言った、コーンはあんなこともしていた……ヤンキース時代のエピソードを振り返る伊良部は本当に楽しそうだった。
そうやってチームの勝利のために、選手同士が注文を付け合うヤンキースのムードに感化されたのだろう。エクスポズ時代の伊良部は、若手投手に厳しかった。ストライクが先行しない投手につたない英語で原因を指摘し、アドバイスを送っていた。のちにマーリンズで2年連続2ケタ勝利をマーク、4年40億円でヤンキースに移籍したパバーノは伊良部門下生でもある。
シビアな一方、結果を残した選手には称賛を惜しまない。その活躍はニューヨークどころか全米で最も大きく報じられるし、待遇もメジャーナンバーワンだ。田中はやり甲斐のある球団に入ったと思う。