実は攻撃的 稲森佑貴の初Vがあぶり出す日本ツアーの問題点

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 現地で取材した評論家の菅野徳雄氏が言う。

「稲森はピン位置から逆算して、その日、その日のベストルートを点で攻めていくプレースメントのゴルフに徹していたのが勝利につながった。フェアウエーキープ率1位の安定感も大きかった。ティーショットが飛ばないといっても、用具の進化もあってユーティリティーでグリーンまでボールを運ぶことができる。緻密な組み立てでコースを攻めたマネジメント力が優れていた」

 日本のプロは多少曲がってもドライバーを少しでも遠くに飛ばしてグリーンに近づけ、2打目は小さな番手でバーディーチャンスにつけたいというスタイルが大半だ。だからティーグラウンドに立つと飛ばすことに必死だ。

 それに多くの試合会場もバーディー合戦を演出するため、飛ばし屋に有利なやさしい設定になっている。そうなると飛ばない稲森には不利なのだ。

「稲森のプレースタイルは一見すると地味に見えるが、攻撃的なゴルフに徹していた」と評論家の宮崎紘一氏はこう指摘する。

「会場は2年前に2グリーンから1グリーンへと2年かけてアメリカンタイプにコースを改造した。ピン位置も難しいので傾斜のあるグリーンに乗ってもこぼれ出てしまうシーンがよく見られた。周辺のくぼ地に落ちてしまうと芝を刈りこんでいるため、微妙な距離感をウエッジでは出しづらく、パターを使う選手が多かった。バーディーも出るけど、その一方でトリプルボギーやダブルボギーを簡単にたたく難しさがあった。だからショットの精度、アプローチの多彩さなどが選手に求められ、精密なゴルフができるか、できないかがスコアを大きく左右したといえます。稲森は大会2日目の13番でダブルボギーをたたき、コースから逃げてはいけない、ミスしたらボギー覚悟で思い切って攻めていかなければダメというゴルフに切り替えた。攻めるというのは飛ばすことではなく、ピンを狙いやすい所にティーショットを運ぶという、ゴルフ本来のスタイルで攻め続けたのです。通常大会の設定のまずさも稲森の勝利であぶり出されたといえるでしょう」

 ドライバーを飛ばすだけの大ざっぱなプロは、稲森にゴルフのイロハを教わったほうがいい。

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