箱根駅伝予想 元早大監督渡辺康幸氏「3強切り崩しは明大」

公開日: 更新日:

 コロナ禍により、史上初の「無観客」開催となる第97回東京箱根間往復大学駅伝競走は見どころ満載だ。早大時代は1年で2区を走り優勝。2010年度に史上3校目となる大学駅伝3冠(出雲・全日本・箱根)へ導いた元早大監督の渡辺康幸氏(47歳=現住友電工監督)に、注目対決や優勝予想などを聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 今回は、前回王者の青学大に、11月の全日本大学駅伝で熾烈なアンカー対決を見せてくれた駒大東海大の、いわゆる「3強」の力が抜けているという構図ではありません。明大東洋大なども絡んでくるのではないか。青学大の原晋監督は「勝敗はアンカー勝負になるかもしれない」と言いましたが、その可能性は十分にあります。

 2年連続6度目の優勝を狙う青学大は、チーム状態が万全なら独走もあったかもしれません。でも、岸本大紀(2年)が股関節故障で登録メンバーから外れました。岸本は昨年、ルーキーで2区を走り、日本人1年生の史上最速時計(1時間7分3秒)をマーク。6人抜きの快走で首位に立ち、2年ぶりの優勝に大きく貢献しました。選手層の厚いチームとはいえ、エース格が1人欠けるのは痛い。4位だった全日本も岸本がいれば勝っていたでしょう。

■1区のルーキー対決

 全日本では1年生の区間賞が3人も出ました。1区(21・3キロ)から、いきなり期待のルーキー対決が見られそうです。予選会日本人トップの順大・三浦龍司は、7月の3000メートル障害で日本歴代2位(8分19秒37)で、全日本1区では区間新記録を出しました。高校駅伝の苦い思い出から「ロードには苦手意識がある」とも聞いていました。その不安を自らの走りで払拭。今月4日の日本選手権3000メートル障害は大会前に右足痛で欠場しましたが、今は心配ないようです。

 中大・吉居大和は、日本選手権5000メートルで自身のU20日本記録を更新する13分25秒87で3位に入った実力者。三浦と吉居。互いに意識する2人が、箱根路の新たな歴史をつくるかもしれません。

新たな「山の神」出現?

 起伏のある「花の2区」(23・1キロ)は、2年生同士のスピードランナーに注目です。駒大・田沢廉は今年の全日本でアンカー勝負を制し、スタミナとスピードを見せつけました。

 昨年の主力が抜けた東京国際大は、ケニア出身のイエゴン・ビンセントの走りから目が離せません。前回3区(21・4キロ)で、それまでの区間記録を2分も短縮する59分25秒という驚きのタイムを出しました。今年は2区で2年連続の区間新を狙います。

 今回最も注目しているのは山登りの5区(20・8キロ)です。当たり前ですが、標高874メートルの急坂を上る走りは、平地とは異なります。ここで順位が大きく変わるかもしれません。新たな「山の神」が出現すれば、その大学が優勝に大きく近づくでしょう。 

青学大・原監督も警戒

「3強」に一泡吹かせるかもしれないのが、72年ぶりの頂点を目指す古豪の明大(優勝7回)です。前回7区で区間新の阿部弘輝(現住友電工)のような絶対的なエースはいませんが、6位のメンバーはほとんどが残っています。

 山登り(鈴木聖人3年)、山下り(前田舜平4年)の経験者もいますし、ルーキーの児玉真輝は全日本の1区で区間5位の堂々たるデビューを果たしました。

 青学大の原監督も「今年は明大が上位に来そうだ」と警戒しています。就任3年目の山本佑樹監督や選手は「勝ち方」を知らないところは難点とはいえ、前回6位、全日本3位の勢いを感じます。ひょっとする、かもしれません。

 今大会から、当日変更できる選手が4人から6人に拡大(1日に変更可は4人まで)されます。12月29日に1区から10区まで、補欠6人を含む区間登録を行い、往・復路ともスタート時間(午前8時)の1時間10分前に当日変更ができます。体調不良やアクシデントが起こった時のためにある「ルール」ですが、選手層の厚いチームは力のある選手を補欠に回し、ライバル校の区間エントリーを見た上で戦略を立てます。

 例えば、往路の上位校は復路の8~10区の勝負どころで変更することもできる。各校の駆け引きや戦術も興味深いところです。

 コロナ禍により、沿道を埋め尽くすファンがいない箱根駅伝は、想像することさえ難しいです。選手も関係者も寂しい限りですが、多くのイベントが中止になっているのですから、開催されるだけでも選手たちは幸せです。条件はどの大学も同じ。好レースを期待します。

 最後に、無観客なら運営管理車に乗る各校の監督が拡声器で指示する声もテレビ中継でもわかるでしょう。

 駒大・大八木(弘明)監督の厳しい叱咤激励を中継マイクが拾うかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状