著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大谷翔平の“勝ちたい”発言が「積極的な提言」と受け止められる背景

公開日: 更新日:

 今季の本拠地最終戦となった9月26日のマリナーズ戦後、大谷翔平が記者団とオンライン形式で行った記者会見は、周囲を騒然とさせるものだった。

「ファンの人も好きだし、球団自体の雰囲気も好きだが、それ以上に勝ちたいという気持ちが強い。プレーヤーとしては、その方が正しいと思う」といった発言は、地区優勝争いに加われないだけでなく、6シーズン連続の負け越しが決まったエンゼルスに対する厳しい批判として捉えられた。

 しかも、報道陣の中には、「大谷は負けるのに疲れた。希望しているのは勝利だ」と、今季終了後に確実な戦力の補強ができなければ、大谷がフリーエージェントの権利を獲得する2023年には、他球団に移籍するのは確実と指摘する者もいるほどだった。

 大谷の一連の発言を受け、監督のジョー・マドンは、「すぐに移籍するということはないと思う」と「大谷、移籍」という見立てを否定している。

 主砲のマイク・トラウトが故障者リスト入りし、長打力を期待できる選手の数が揃わない打線と、大谷以外は投球回が100回に達した者がいない投手陣を眺めれば、球団の雰囲気はよいものの勝利への貪欲さが感じられないという批判も、ある意味で当然だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」