期待の新人・落合博満が突然「大学を辞めたい」…兄と姉を呼び、3人がかりの説得は深夜に及んだ(上)

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 兄姉が東京に出てきて働いているのに、ひとりだけ野球をやっているわけにいかないというのが落合の言い分だった。

 兄と姉は、退学に反対だった。自分たちは大学を出ていないので、何とか卒業して欲しい。「兄姉で支えたい」と口を揃えた。

 落合は野球の特待生だった。東洋大には当時、一学年に5人ほどスポーツ推薦制度を使って入学する学生がいて、落合はその中のひとりだった。

 当時の寮費が8000円。その他、食費も含めて、月に2万円もあれば十分暮らしていけた。わたしの月給が4万円だった時代だ。

 わたしは自分に協力できることがあったら言って欲しい、できる限り力になると言った。お兄さんとお姉さんもここまで言ってくれているんだし、兄姉の希望をかなえてあげたらどうかとも訴えた。

「ブ~ン、ブ~ン」

 部屋に置かれた扇風機の音が、次第に大きく聞こえるようになる。空気が重く、よどんでいく--。


 3人がかりの説得は深夜に及んだ。(つづく)

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