著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

ダルビッシュの変貌に重なる大リーグの変化…スポーツは変わるから面白いのだ

公開日: 更新日:

 ダルビッシュ有が仙台の東北高校に来たのは2002年だった。その夏、エース雄平(高井)を擁して絶対本命の東北は準々決勝で敗退した。直立不動で雄平の涙を見ていた1年生を覚えている。荒川静香はよくグラウンドに練習を見に来たし宮里藍もいた、そんな東北高校の最盛期に、ダルビッシュはこんなことを言っていた。

「大リーグには興味はないですね。行きたいなんて全然思わない。ベースボールより日本の野球の方がずっと面白いスよ」

 イチローや松井が花開かせていた頃、日本野球の奥深さ、面白さに取りつかれていた。変幻自在のスライダーなど、賢くも多彩な球種は野球の駆け引きを追い求めた先に生み出されたのだろう。

 友達にツインズのスカウトがいて、その釣り仲間がつけていた通信簿にCommandという項目があった。

 配球センスを加味した制球力、小宮山悟がよく口にした「出し入れ」を指すようだ。日本の投手の空間、強弱の「出し入れ」の背景に試合数という独自の環境がある。それがパワー一辺倒で大味だった本家、メジャーを変えた――大谷翔平は見事な“本歌取り”と言っていいだろう。

 日米通算200勝を達成したダルビッシュは、オフに肘の手術に踏み切り、再来年からの再起を誓っている。40歳では無理? スポーツは変わるから面白いのだ。あの男ならやりそうではないか。

【連載】スポーツ時々放談

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし