ダルビッシュの変貌に重なる大リーグの変化…スポーツは変わるから面白いのだ
ダルビッシュ有が仙台の東北高校に来たのは2002年だった。その夏、エース雄平(高井)を擁して絶対本命の東北は準々決勝で敗退した。直立不動で雄平の涙を見ていた1年生を覚えている。荒川静香はよくグラウンドに練習を見に来たし宮里藍もいた、そんな東北高校の最盛期に、ダルビッシュはこんなことを言っていた。
「大リーグには興味はないですね。行きたいなんて全然思わない。ベースボールより日本の野球の方がずっと面白いスよ」
イチローや松井が花開かせていた頃、日本野球の奥深さ、面白さに取りつかれていた。変幻自在のスライダーなど、賢くも多彩な球種は野球の駆け引きを追い求めた先に生み出されたのだろう。
友達にツインズのスカウトがいて、その釣り仲間がつけていた通信簿にCommandという項目があった。
配球センスを加味した制球力、小宮山悟がよく口にした「出し入れ」を指すようだ。日本の投手の空間、強弱の「出し入れ」の背景に試合数という独自の環境がある。それがパワー一辺倒で大味だった本家、メジャーを変えた――大谷翔平は見事な“本歌取り”と言っていいだろう。
日米通算200勝を達成したダルビッシュは、オフに肘の手術に踏み切り、再来年からの再起を誓っている。40歳では無理? スポーツは変わるから面白いのだ。あの男ならやりそうではないか。



















