「悪女の手帖」大下英治著
■男に溺れ罪を犯す悪女たち
昭和56年、秋子は交際中の西井から彼女が勤務している銀行から金を引き出す方法はないかと打診される。実業家の西井は1週間前に倒産していたのだ。職場で上司の信頼も厚い秋子は、考えたこともない犯罪の誘いをきっぱりと断る。しかし、西井とのセックスに溺れる秋子は、執拗な彼の要求を断れなくなり、オンライン端末の操作を請け負ってしまう。決行日、秋子は用意していた架空口座に1億8000万円を入金して、歯医者に行くと言い残し銀行を出る。引き出した金を西井に渡しマニラに飛んだ秋子だが、いつまで経っても西井は現地に現れない。
男に溺れ、だまされ、罪を犯してしまう女たちを描いた官能小説集。(文芸社 780円)