「NHKニッポンの里山ふるさとの絶景100」今森光彦監修・写真、NHK「ニッポンの里山」制作班編著

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■日本各地の絶景里山を巡る

 各地の里山絶景を紹介するTV番組を書籍化したビジュアルブック。人間と自然と生き物たちとの共生環境を生み出す里山は、観光地や景勝地とは違い、田園風景でありながら、その土地ならではの絶景をつくり出す。人が自然に親しむ文化を育んできた里山は、それゆえに日本人の原風景ともいえ、見る者に懐かしさと安らぎを与えてくれる。

 里山の環境要因の中でも大切なのが田んぼだ。米作りで出来上がった水の循環が生物の多様性を支える。

 新潟県十日町市松代地区の星峠で、森を切り開き、米作りが始まったのは1000年以上も前だという。冷たい雪解け水は苗の成長を遅らせるので「そよ」とよばれる水路を迂回(うかい)させ、山の斜面の棚田に導く。

 失ってしまった生き物との共生関係を復活させた例もある。一時は姿を消したコウノトリが自然繁殖するまでに環境を取り戻した兵庫県豊岡市の里山だ。

 その他、岩手県東部、北上山地の深い山並みに囲まれた岩泉町の標高1000メートル超えのなだらかな山の頂上付近に放牧された牛たちがつくりだす美しい森、人々が山を大切にしてきたがゆえに水が豊富で、集落をめぐる水路にオオサンショウウオがすむという鳥取県日南町の山里など、田んぼの他にも林や森、水辺の章ごとにそれぞれ特色ある里山と人々の暮らしぶりを、豊富な写真とともに紹介する。

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