「47都道府県別日本の地方財閥」菊地浩之著

公開日: 更新日:

■滋賀県の多額納税者トップは「西川ふとん店」

 東京一極集中といわれはしても、日本全国にはそれぞれローカルな名門企業がある。本書は昭和8(1933)年の「全国多額納税者一覧」をもとに各県別に名家を洗い出し、それぞれの来歴を紹介している。たとえば岡山県の名家・大原家は倉敷にある大原美術館でも知られるが、岡山市の伊原木家は女子マラソンの強豪選手がそろう「天満屋」の創業家。

 先の「一覧」で神奈川県の2、3位となった原富太郎・善一郎は親子で、横浜の三渓園を造った美術コレクターの大富豪。福岡県の1位石橋正二郎と3位出光佐三はブリヂストンと出光興産の創業者だが、同県10位の麻生太吉は元首相・麻生太郎の曽祖父。地元では炭鉱業とセメント企業で知られた。

 近畿の三重県では真珠王・御木本幸吉が群を抜いていたが、滋賀県では「西川ふとん店」の西川甚五郎が1位。ただし実はランクに上がらない地方名家が旧大名家。明治維新後、彼らの多くは半強制的に東京移住を余儀なくされたため、納税地が東京だったのだ。
(平凡社 800円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒