「ラスト・ウェイ・アウト」フェデリコ・アシャット著 村岡直子訳
周到に計画した通りに自殺をするために、テッドが自宅の書斎で銃口を頭に向けたそのとき、呼び鈴が鳴る。立ち去るのを待つが、訪問者はなぜかテッドの名前を呼びかける。不審を抱きながらドアを開けると、リンチと名乗る美青年が立っていた。
リンチは、テッドが何をしようとしていたかを知っており、ある取引を持ちかけてきた。恋人殺しの罪を逃れた男の処刑と、テッドと同じように自殺を志願する男の夢をかなえてやれば、テッドもその輪に入り、殺人の被害者として人生を終えることができるという。残される家族のショックを和らげるため、テッドはリンチの申し出を受ける。
連続する謎が読者を迷宮へと誘うアルゼンチン発の奇書。(早川書房 1300円+税)