「口腔医療革命食べる力」塩田芳享著

公開日: 更新日:

 食べることが健康の基本でありながら、病院では「食が軽視されて」おり、「食べられない高齢者」が増えているという。実際、退院した高齢者は大抵、元気がない。その実態に一石を投じるのがこの本。

 驚くことに誤嚥や窒息が怖くて「高齢者は食べてはいけない」と考えている医師が少なからずいるという。しかも、口腔内には医科と歯科の境界線があるがゆえに、「噛む力」「送り込む力」「のみ込む力」のすべてを一人で診ることのできる、医師や歯科医師はいないという。

 著者は、映画の助監督後にNHKや日本テレビなどの報道番組の演出も手掛けた医療ジャーナリスト。食べることがいかに重要かを訴え、食べさせるための努力がなぜ重要で、そのための努力がどのように行われ、どんな効果を生んでいるかを紹介している。巻末の家で簡単にできる「噛む力」のリハビリも役に立つ。介護をしている人や高齢者と一緒に暮らしている人には読んで欲しい。(文芸春秋 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも