「ただしくないひと、桜井さん」滝田愛美著

公開日: 更新日:

 子どもたちから「桜井さん」と呼ばれる大学生の僕は、NPO団体が運営する「ぽかぽかハウス」のボランティアスタッフ。僕の担当は金曜日で、子どもたちの宿題をみたり、将棋の対戦相手をしている。いつもテキトーな返事をするので皆に呆れられているが、結構、秘密も打ち明けられる。中学3年で豊満ボディーの柚希に「痴漢されて気持ちいいねん。桜井さん、私のこと触って?」と迫られたときは困ったけど。

 ある日、ハウスに通う中学3年生の太郎の母親が病気で亡くなり、その数日後、父親が淫行で逮捕されるという事件が起こる。被害者は太郎の同級生でもある柚希だった。僕は太郎を誘って静かな公園に向かい、一通の手紙を見せた。(「正義のみかた」)

 不倫、自殺、売春などその裏にある切実な痛みを描いた、第13回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞受賞作。(新潮社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」