「競争社会の歩き方」大竹文雄著
「競争」をテーマに経済学の思考法を解説した教養テキスト。
日本では、競争社会という言葉が否定的な意味でとらえられている。しかし、著者は競争の促進は、それぞれの長所を見いだし、それを生かす方向へと人々を導き、結果として独占を阻止する契機になるという。競争に対してネガティブなイメージを持つことで私たち自身も大きな代償を払っているとも。競争のメリットを享受するのは、競争している本人ではなく、競争の結果、より良いサービスや商品を手にできる消費者だからだ。
チケットの転売や政府が進める女性活躍推進、社会保障給付など、身近な問題を例に取り上げながら、適切に競争を促進、継続させる社会を実現するための方途を説く。
(中央公論新社 820円+税)