「食と健康の一億年史」スティーブン・レ著、大沢章子訳

公開日: 更新日:

 現代の健康問題は、祖先が守ってきた食を含めたライフスタイルを変えたことや環境の変化に原因があるのではないか――。そう考えた自然人類学者が、世界中を旅しながら人類の祖先がどのように食べ、どのように生き抜いてきたのか、人類の食と健康との関係を探索しているのが本書だ。

 食の歴史をたどれば、地域や時代によって常識は大きく変わる。遠い祖先が日常的に食べていた昆虫や暑さの厳しい地方で食される香辛料、健康にいいと信じがちな果物や野菜の真実、さらには近年始まった水産養殖魚から遺伝子組み換え食物に至るまで、さまざまな研究結果を提示。それらの食べ物がもたらす健康への影響を考察していく。

 短期的には立派な体格などの利益が得られても長期的には疾病リスクを高める可能性の高い乳製品や、高齢者にメリットの大きい肉食など、具体的な事例も興味深い。巻末には、普遍的な生き方や食べ方のルールとして、伝統食や歩くことの効能も示している。

(亜紀書房 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも