「食と健康の一億年史」スティーブン・レ著、大沢章子訳

公開日: 更新日:

 現代の健康問題は、祖先が守ってきた食を含めたライフスタイルを変えたことや環境の変化に原因があるのではないか――。そう考えた自然人類学者が、世界中を旅しながら人類の祖先がどのように食べ、どのように生き抜いてきたのか、人類の食と健康との関係を探索しているのが本書だ。

 食の歴史をたどれば、地域や時代によって常識は大きく変わる。遠い祖先が日常的に食べていた昆虫や暑さの厳しい地方で食される香辛料、健康にいいと信じがちな果物や野菜の真実、さらには近年始まった水産養殖魚から遺伝子組み換え食物に至るまで、さまざまな研究結果を提示。それらの食べ物がもたらす健康への影響を考察していく。

 短期的には立派な体格などの利益が得られても長期的には疾病リスクを高める可能性の高い乳製品や、高齢者にメリットの大きい肉食など、具体的な事例も興味深い。巻末には、普遍的な生き方や食べ方のルールとして、伝統食や歩くことの効能も示している。

(亜紀書房 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」