「中国が愛を知ったころ」張愛玲著、濱田麻矢訳
中学校教師の羅と郭は湖の近くの男子宿舎に住んでいる。郭の遠縁のミス周とその友人ミス范の4人で、湖で時間を過ごしたり、手紙を出しあったりしていた。それで十分楽しかったのだ。羅は当時の通弊に従って、「恋愛」を経験せずに結婚し、妻は少し離れた村に住んでいた。ある日、ミス范に「この土曜日はお家に帰るの?」と聞かれて衝撃を受け、離婚することを決意する。羅は帰宅して妻に離婚を切り出すが、妻は一晩泣き続け、母は怒り狂った。膠着状態となっているときミス范に縁談が……。(表題作)
清朝の名臣・李鴻章のひ孫が、1920年代、1940年代、1960年代の女性を描いた短編集。
(岩波書店 2400円+税)