「キッド」相場英雄著

公開日: 更新日:

 主人公は、香港で中古フィルムカメラの専門店を営む城戸護。カメラ屋の店主はあくまで表の顔で、実はかつて自衛隊の特殊部隊にいた経験を生かしてリスク管理のコンサルタントをしていた。

 そんな城戸のもとに、ある日新しい依頼が舞い込む。上海の商社マン・王作民が福岡に立ち寄る際のボディーガードをしてほしいというのだ。危険地帯とは思えない日本への同行依頼に拍子抜けした城戸だったが、福岡空港へ到着した途端、王が複数の刑事に監視されていることに気づく。

 ところが、王を守ろうとする城戸が、事情聴取を求めて接触してきた公安と押し問答するうち、王は自ら毒を飲んで倒れてしまった。

 早急な処置で一時的に王の命はつながったものの、ほっとしたのも束の間、今度は王の秘書が王を殺して自殺するという事態が発生。城戸はふたりの殺人の濡れ衣を着せられ、警察から追われる身となってしまうのだが……。

 経済小説や時事問題を取り入れた小説が人気の著者による最新作。不可解な事件に巻き込まれた元自衛隊員が、巨大な監視網を突破して事件の真相に近づく姿がスリリングに描かれている。

 (幻冬舎 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋