「サバティカル」中村航著

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 大学卒業後、エンジニアとしてひたすら働き続けた梶は33歳になって、現在の職場を辞め、新たな職に就くことにした。その移行期間でぽっかりと5カ月間の空白ができた。思いもかけぬサバティカル(長期休暇)だ。

 そこでまず「To Doリスト」を作る。「百年の孤独」を読む、「フェルマーの最終定理」を完全理解する、アコギで「Blackbird」を弾けるようになる、油絵を描く……。そんな計画を抱いて長い休暇が始まったある日、公園で老人から「ショーギできる?」と声をかけられた。

 将棋が上達することを新たにリストに加えた梶は、老人がずっと前に別れた娘に会いたがっていることを知る。娘の捜索を買って出た梶は、彼女の居場所を突き止め、思い切ってその娘、香奈と会ってみる。するとなぜか意気投合し、香奈と話しているうちに、梶は自分が、他人に恋愛感情を持てない「アセクシュアル」であることを打ち明ける……。

 降って湧いたような長い休みの中で、自らに課題を課し、自分の生き方を見つめ直す梶。「人生の夏休み」をファンタスティックに描いた、大人の成長小説。

(朝日新聞出版 1400円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

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