「安倍晋三と社会主義」鯨岡仁著
新たな視点でアベノミクスを分析する経済政策テキスト。首相がなぜ自らの名を冠した経済政策を構想し、どのように実行するに至ったのか。為政者の思考回路に立ち入り、アベノミクスの由来に迫る。
アベノミクスについて当初は「新自由主義政策」や、「ケインズ政策」などさまざまな見方が交錯した。そんな中、著者は政府が株を買い支え値段を吊り上げるような国は「社会主義的」だとする立憲民主党の枝野代表の指摘が本質を突いているという。アベノミクスは国家が主導すれば経済成長を実現できるという思想に立ち、民間の経済活動に躊躇(ちゅうちょ)なく介入している。そのルーツにあるのが、同じく国家主義的な改革を推し進めた祖父の岸信介元首相にあることを解き明かしていく。
(朝日新聞出版 810円+税)