「これネコ それネコ?」沖昌之著

公開日: 更新日:

「これネコ それネコ?」沖昌之著

 SNSで人気のネコ写真家による写真集。

 これまでは撮影したその日のうちに作品をSNS上で発表してきた著者だが、そのルールを一時封印。2年間、じっくりと大切な写真をため込み、「この写真を見せたい!」という思いが凝縮した作品を編んだという。

「笑撃」のネコ写真集といううたい文句の通り、ただ可愛いネコ写真とは一線を画し、外で暮らすネコたちの、思いがけない一瞬をとらえた作品を収める。

 冒頭の写真からドッキリだ。

 門扉(と思われる)の下のわずかな隙間から顔をのぞかせるキジシロの写真は、一緒に写る4本脚の位置があり得ない場所にあり、こちらを見たくてろくろ首のように首が伸びているとしか思えない。

 お隣のページでは、キジトラが草むらで何かを狙っているのか、中腰になり、前脚はまるで誰かにゴマをすっているかのように胸元にそろえて立っている。

 白昼堂々と、交尾をしている2匹を目撃してしまったキジトラは、まるで見てはいけないものを目撃してしまったかのような迫真の表情で、思わず笑ってしまう。

 立ち木で爪を研ぎながら、こちらにあっかんべーをするようにピンクの舌を出す黒猫や、何かが気になるのか道端で空き地をのぞき込む黒猫とカラスのツーショットなど、どの作品もネコたちの面白い行動・表情に、ついマンガのようにふきだしのセリフをつけたくなるようなドラマ性がある。

 ほかにも、何やらモメており一触即発の気配でにらみ合う2匹のネコの背後を、我関せずと大ジャンプを見せる黒白ネコ、何かが落ちてしまったのか、それとも何かがいるのか、側溝のグレーチング蓋を一心にのぞき込む4匹、何かに驚いたのかまるでのけぞるように後ろに跳ぶ三毛猫、その背後には子ども向けのオブジェのようなものが据えられており、その対比がまた作品に味を加える。

 多くの作品は、猫島と呼ばれるネコが多く暮らす離島で撮影されたようで、作品に人間はほとんど出てこないのだが、中には、おやつでもねだっているのか、2本脚歩行のように垂直に立って住人にアピールする茶トラや、港でとった魚を網からはずしているところをネコ集団に襲われて悲鳴を上げる女性など、住人とネコたちのほほ笑ましい関係をとらえた作品もある。

 壁ドンなのか、それとも体育館裏に呼び出されたのか、壁を背に立ち上がって何やら話し込んでいるふうの茶白の2匹や、猫背を強制するかのように横棒につかまって体が存分に伸びてもふもふのお腹をこちらに見せつける黒白ネコなど。多くの人がネコに抱いているイメージとはちょっとはずれ、まるで人間のような振る舞いをするネコたちの豊かな表情に、ネコ好きはもちろん、そうでない人もきっと心が和むことだろう。

(インプレス 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 2

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  3. 3

    嶋基宏は一時期ノイローゼ状態になっていた...心ここにあらずで、魂が抜けた状態に

  4. 4

    伊藤健太郎とキンプリ永瀬廉で明暗クッキリ…「熱愛報道」出口夏希の足を引っ張りかねない“イメージ格差”

  5. 5

    なぜ「愛子天皇」ではダメなのか? 美智子さまが心情を吐露する出版物を準備中…と政界で話題

  1. 6

    嵐が去る前に思い出す…あの頃の「松本潤」と「大野智」

  2. 7

    視聴率の取れない枠にハマった和久田麻由子アナの不運 与えられているのは「誰でもできる役割」のみ

  3. 8

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  4. 9

    居酒屋倒産が過去最多ペース 客離れの背景にある「飲み放題5000円」の壁

  5. 10

    巨人“育成の星”のアクシデントに阿部監督は顔面硬直、原辰徳氏は絶句…桑田真澄氏の懸念が現実に