「生物はなぜ死ぬのか」小林武彦著

公開日: 更新日:

「そもそもなんで生き物は死ぬのか」という根源的な疑問に生物学的視点から迫る科学エッセー。

 死について考察する前に、まずは生物がなぜ誕生したのかを解説。原初の地球までさかのぼり、度重なる偶然(ミラクル)が起こり、より効率的に増えるものが生き残り、死んだものが材料を供給する「正のスパイラル」によって生命が誕生した過程を振り返る。

 現在の生物の多様性は、実は遺伝子の変化と絶滅(=死)による選択によって支えられている。生命の誕生と多様性の獲得に、個体の死や種の絶滅といった「死」が重要であり、「死」も進化がつくった生物の仕組みの一部であるという。「老化」というヒト特有の現象の意味などにも触れながら、死が「生命の連続性を維持する原動力」であることを説く。

(講談社 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋