富士塚が多すぎの東京ならではの信仰事情「東京で驚いた」井上理津子著

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「東京で驚いた」井上理津子著

 ライターとして30年以上、大阪の各所を取材してきた著者は、2010年に東京に引っ越して以来、東京の不思議さや面白さに出合ってきた。本書は、著者の体験を起点に、東西の当たり前を比較しながら、東京の歴史や文化を深掘りしていくルポエッセーだ。

 たとえば、第1章「富士塚と富士講」では、羽田神社で見つけた富士塚を契機に、大阪にはない富士山を信仰する「富士講」に行き当たった。随所で富士山が見える東京と、生活圏から富士山が遠い大阪とでは富士山への思いが全く違うことに気づき、富士登山と同じ御利益があるという東京各所にある「○〇富士」を巡り始めるのだ。さらに、第2章「東京の水道水」では、東京の水で入れた昆布茶の味が大阪で入れた時と全く違った驚きを起点に、江戸の治水事情をはじめ、太宰治の玉川上水入水の影響や松尾芭蕉が水番人だったことなど思わぬ発見を掘り起こす。

 ほかにも、「昆布の東西」「東京っぽい神社とは」「弔いの形」など、全10章構成。東京を知らない人はもちろん、東京在住者でさえも知らない東京の深い姿が見えてくる。 

(光文社 1980円)

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