著者のコラム一覧
南渕明宏昭和医科大教授

心臓血管外科専門医、医学博士。

「外科手術」は患者だけでなく医師も怖い…他人の気持ちはわからない?

公開日: 更新日:

 医者は患者の気持ちをわかるのでしょうか? 無理に決まっています。他人の気持ちはわかりません。

 高齢な女性患者に付き添う娘は、いつも母親に叱られています。

「あんたも私の年になったら、私の気持ちがわかるわよ!」

 男性より圧倒的に共感力が高いとされる女性でも、こんなお叱りを日常的に受けているのです。自分が経験しないと、その気持ちはなかなか理解できないものです。

 医療者が病気になって入院すると、瞬間、瞬間が大発見です。病院でほぼ生活しているような医療者でも、患者の視点で病院の天井を見上げてみないと、その気持ちはわからないのです。

 もちろん、わからないから無視していいということでは決してありません。「わかろうとしても100%は無理ですよ!」というのが、この原稿の趣旨です。

 嬰児を母親が殺害した、といった事件が毎月のように報道されます。検察官や裁判官は人生の「勝ち組」です。彼らは時に「勝ち組」とはっきり自称しています。そんな人たちが厳しい立場に置かれた母親の気持ちを理解するのはゼッタイに無理でしょう。それでも何らかの「仕事」を強いられる裁判官や検察官は、ある意味本当に大変なおシゴトだと思います。

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