「彼らはどこにいるのか」キース・クーパー著 斉藤隆央訳

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 つい先日の朝日新聞夕刊の第1面に「UFO遭遇 もしかしたら」という大見出しが躍っていた。この6月に米政府が「未確認飛行物体」の報告書を公開した。それによると、米軍パイロットが目撃した未確認の飛行物体の情報や映像を検証した結果、144件のうち1件は気球と判明したが、残りは正体不明だったという。もしそれらが地球外の知的生命のものであれば、という期待(不安?)も高まってくる。

 UFOとの遭遇はともかく、地球外にも生命があり、中には高度な文明を持つものがいるに違いないという考えは以前からあった。その具体的な活動が1960年ごろから始まるSETI(地球外知的生命探査)プロジェクトだ。当初は地球外生命からの電波シグナルを受信することを目的としていたが、その後、もっと積極的なMETI(地球外知的生命へのメッセージ送信)の動きも出てきた。

 だが、このMETIには批判も強かった。相手が善悪どちらの対応するか分からない時点で安易に自分たちの存在を明かすのは危険だ、と。未知なるエイリアンとコンタクトを取ることは人類に取ってメリットはあるのか。本書は、地球外知的生命とのコンタクトに関する歴史を振り返るとともに、そこに内在するいくつもの問題に焦点を当てていく。

 エイリアンは地球人に親切か。エイリアンとコミュニケーションができるか。地球以外に住みやすい星はあるか。地球外からのメッセージは見つかるか。エイリアンは宇宙に進出しているか。宇宙で文明はどれだけ続くか……。これらの問題について、科学ジャーナリストの著者は豊富なエピソードを交えながら丁寧に解説していく。一見、荒唐無稽な議論に思えるようなものもあるが、これらエイリアンへの関心はとりもなおさず我々人類の行く末に対する関心に他ならない。

 この関心の裏には、地球のような惑星は唯一無二で、宇宙には仲間が誰もいないかも知れないという危惧も潜んでいる。夏の夜空を眺めながら、未知なる仲間に思いを馳せるのも一興。 <狸>

(河出書房新社 2970円)

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