「猫に学ぶ」ジョン・グレイ著 鈴木晶訳

公開日: 更新日:

 退屈とは自分以外に誰もいないときに感じる恐怖だ。人間は自分から逃げ出すことで幸福になろうとするが、猫は自分しかいなくても幸福である。それが猫と人間の最大の違いである。

 フロイトが見抜いたように人間には不気味な悲惨さが付き物で、それから解放されるために、人は精神分析など、さまざまな療法を考えだした。それらは他人との共生に伴う不快感を軽減してはくれるが、取り除いてくれるわけではない。愛猫家はしばしば、猫に人間の感情を投影して擬人化していると非難されるが、愛猫家が猫を愛するのは、自分とあまりに違っているからなのだ。

 猫の日常を見て、人生の意味と幸福について考える。人生の重荷を感じている人も、ちょっと心が軽くなるかも。

(みすず書房 3300円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは