罵声と灰皿と胃薬と 蜷川幸雄さん“強烈演出”の裏に深い愛

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「日本の現代劇は蜷川以前と以後に分かれる。一つの革命を起こした人でした」

 演劇界の“鬼”をこう偲んだのは松本幸四郎(73)。演出家の蜷川幸雄氏が12日、肺炎による多臓器不全のため都内の病院で亡くなった。享年80。現代劇からシェークスピア、ギリシャ悲劇など海外の古典まで多岐にわたる作品を演出。海外でも高く評価され「世界のニナガワ」と呼ばれた希代の演出家が泉下の人となった。

 俳優を「バカ!」「マヌケ!」と激しく怒鳴りまくる、灰皿を投げつける――。稽古場での厳しい演出指導は有名で、19歳の時にその“洗礼”を浴びた寺島しのぶはかつて本紙のインタビューで「もうスリッパは飛んでくるわ、イスは飛んでくるわ、目の前で胃薬をボリボリ食べられ、“久しぶりだよ、女優の前でこんなに胃薬食うのは”とも言われました」「稽古中は“公開SM”のようでした」と語っていたこともあるほど。

 しかし、その激しい演出の裏には舞台と役者に対する深い愛情があり、寺島が「感謝しかないです。思いっきり本音が言い合える人がまたいなくなってしまった。でも頂いた言葉は私の細胞に植え込んであります。書いている間も涙で字が見えません」と偲んでいるのが印象深い。

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