<第1回>「視聴率に振り回されるのはすごく愚かなこと」

公開日: 更新日:

 中井貴一(54)が今年でデビュー35年の節目を迎えた。6月、7月と立て続けに新たな趣向を凝らした舞台に挑む。日本を代表する俳優には、今だから思い至るようになったことが多い。

「自分がいちばん年上という現場が多くなってきた――むかし、多くの先輩方がこんなふうに嘆いていたんですが、気が付くと僕も同じようなことを言ってるんですよ」

 ちゃめっ気たっぷりに語るが、誰もが認める実力派。映画連合艦隊」(81年)でデビューし、テレビドラマでも経験を積んできた。同じ芝居でも「映画は故郷。テレビは主食」と話す。主食は“メシの種”ということではない。「当たり前のように茶の間にあって、毎日必ず何かが放送されているから」だ。もっとも最近はネットに客を奪われ、テレビ離れの加速、ドラマの低視聴率化が取り沙汰されている。未来は明るいとは言えない。

「ドラマに関して言えば、ダメだダメだと言われたって、そんなに悲観することはないと思うんです。ライフスタイルは多様化し、娯楽ツールも増えています。そんな中で、視聴率が9%とか10%というのは、その作品を掛け値なしに見たいと思っている人の数字であり、これぐらいが標準的な数値じゃないかなと思っています。15%超になるのは、世の中の流行に乗らなければいけないっていう人がプラスされたもの。おまけみたいなものです。ただし、制作者サイドが、視聴率の悪さをほかに求めるのは逃げであり、少なくともその手の言い訳は自分が関わるドラマでは絶対言わせない。視聴率が取れないのは、僕ら作る側がダメだったから。面白いものをつくれば、多様化しようが娯楽ツールがあろうが、お客さまは見てくれるはずです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い