中川右介氏寄稿 「妻ある男の恋」再び容認されるためには

公開日: 更新日:

 この視点から、2014年のNHK朝ドラ「花子とアン」を振り返ってみよう。柳原白蓮をモデルにした蓮子(仲間由紀恵)は、炭鉱王の妻でありながら学生との恋に落ちるが、この不倫(当時は姦通罪)は、せつなく美しく肯定的に描かれていた。一方、ヒロイン・花子(吉高由里子)の、病身の妻を持つ男との不倫の恋は、実話なのに、詳しく描くと番組そのものが女性視聴者に嫌われると判断したのか、深くは描かれなかった。

 現在は「他人の夫」と関係を持った女は「盗んだ女」として女から嫌われ、バッシングされるのだ。いまや男は、結婚すると女の所有物なのだ。

 実は、姦通罪が廃止される時、「夫ある女の不倫を罪としない」のではなく、「妻ある男の不倫も罰する」ことで男女平等にすべきとの意見もあった。男たちの反対で、結果として姦通罪は男女ともなくなったが、現実には妻ある男の不倫に世間は厳しい。

「妻ある男の恋」が再び社会的に容認されるためには、木村拓哉にドラマでせつなく演じてもらうしかないのかもしれない。人気が失墜しているといわれる木村にとって、起死回生となるか、もっと落ちるか、賭けではあるが。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

  2. 2
    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

  3. 3
    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

  4. 4
    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

  5. 5
    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

  1. 6
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7
    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

  3. 8
    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

  4. 9
    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

  5. 10
    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず

    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず