関根監督インタビュー「太陽の塔」が発信する大きな疑問符

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■自画自賛するクールジャパンは不安の裏返し、精神的な鎖国

 ――それは映画に登場する思想家の中沢新一氏、探検家の関野吉晴氏、民俗学者の赤坂憲雄氏らからも、語られていますね。

「この映画を製作中、アジアの人に言われたんです。日本人は日本が好きだよね、と。クールジャパンだと自画自賛し、自己満足していると。それは不安の裏返し、精神的な鎖国ですよね。自分たちは平和で、安全で、これからもずっとそれは続いていくと政府が喧伝し、マスコミも一緒になって社会全体でそういう空気をばらまいているけれど、それは続かない。政治や社会のシステムを信じても何の保障もないし、共倒れになってからだまされたと怒ったところで、どうしようもない。給料は上がり、生活は良くなっていくものだと信じていられた高度成長期も、冷静にみれば、そうやって踊らされていたのかも知れません」

 ――映画は「太陽の塔」の最初で最後のドキュメンタリーだと。

「ドキュメンタリーを撮ったり、アートで何かを発信しようという動きは、台湾とか、近隣アジアでも盛んになっているんです。芸術は爆発だ!というところまではいかないまでも、その胎動は確かにあって、日本にもある。今回は、僕の世代や、僕より若いダンサーやアーティストたちにもインタビューしたのですが、いろいろなものがクロスオーバーしていくのが分かりました。太陽の塔は何かのアイコンになっているんです。リアルタイムで大阪万博を知っているわけでもないのですが、太陽の塔の疑問符が時空を超えて迫ってくるように感じました。今こそ必要なメッセージがあるように思います」

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