関根監督インタビュー「太陽の塔」が発信する大きな疑問符

公開日: 更新日:

■自画自賛するクールジャパンは不安の裏返し、精神的な鎖国

 ――それは映画に登場する思想家の中沢新一氏、探検家の関野吉晴氏、民俗学者の赤坂憲雄氏らからも、語られていますね。

「この映画を製作中、アジアの人に言われたんです。日本人は日本が好きだよね、と。クールジャパンだと自画自賛し、自己満足していると。それは不安の裏返し、精神的な鎖国ですよね。自分たちは平和で、安全で、これからもずっとそれは続いていくと政府が喧伝し、マスコミも一緒になって社会全体でそういう空気をばらまいているけれど、それは続かない。政治や社会のシステムを信じても何の保障もないし、共倒れになってからだまされたと怒ったところで、どうしようもない。給料は上がり、生活は良くなっていくものだと信じていられた高度成長期も、冷静にみれば、そうやって踊らされていたのかも知れません」

 ――映画は「太陽の塔」の最初で最後のドキュメンタリーだと。

「ドキュメンタリーを撮ったり、アートで何かを発信しようという動きは、台湾とか、近隣アジアでも盛んになっているんです。芸術は爆発だ!というところまではいかないまでも、その胎動は確かにあって、日本にもある。今回は、僕の世代や、僕より若いダンサーやアーティストたちにもインタビューしたのですが、いろいろなものがクロスオーバーしていくのが分かりました。太陽の塔は何かのアイコンになっているんです。リアルタイムで大阪万博を知っているわけでもないのですが、太陽の塔の疑問符が時空を超えて迫ってくるように感じました。今こそ必要なメッセージがあるように思います」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝