関根監督インタビュー「太陽の塔」が発信する大きな疑問符
岡本太郎の「太陽の塔」が今また注目を集めている。1970年の大阪万博から48年ぶりに内部を公開中だが、これに続けと岡本太郎財団公認の初のドキュメンタリー映画「太陽の塔」が公開されるのだ。映画では関係者や有識者29人が登場し、太郎モニュメントの知られざる真実を解き明かしている。中高年世代の多くには高度成長期のシンボルのように記憶されているが、実はそこに込められたメッセージはそうした文明への強烈なアンチテーゼであった。監督は映像ディレクターの関根光才。公募から選出された、42歳である。
――なぜこの企画に興味を持ったのか。
「以前、実物を見たことがあり、そのときの印象がとにかく強烈だったんです。何だか訳が分からないけれど、すごいパワーがあって、だけどヘンテコで、ユーモアも感じられて。裏には黒い太陽が描かれていて、不気味で怖くもあった。いったいどうしてこんなものができたのだろうって疑問を持ちました」
――公募の企画書にも「疑問」という言葉を入れてPRしたと。
「はい。『3・11』の際に、自分たちの信じていること、信じさせられていることの多くは間違いで、でもそのことを疑ったりせず、ほとんど考えもしないでいることに気づいたんです。それで何かしなきゃと映像を撮り始めたりしたのですが、リアル感のなさ、真綿で首を絞めるような閉塞感にぶち当たった。いったい何なんだって。太陽の塔が発信しているのは、そうした大きな疑問符じゃないかと思ったんです。人類の起源、生命の根源からの源流と言いますか。今の文脈や言葉での定義や解釈、あらゆるバイアスをはね返してしまうような、真っすぐな疑いではないかと」