戦後最年少で真打ち昇進 志ん朝以来スピード出世だったが

公開日: 更新日:

 病気については、改めて詳しく話してもらおう。

「自分は勉強ができないバカで落ちこぼれだと思い込んでました。だから、落語を褒められても、おべんちゃらとしか思えない。人の言うことが信じられない。落語家としても、小さんの孫だからちやほやされるんだと。早い話が、劣等感の塊ですよね」

 昇進後の花緑は、古典落語を大胆にアレンジし始めた。登場人物のキャラクターを現代人と重なるように変えたり、「入れ事」と言われる現代的なくすぐりを随所に挟んだ。

「とにかく客に受けたかった。志らく兄さんみたいに古典をぶっ壊してみたり、新作落語は自分で作れないから、三遊亭新潟(現白鳥)の『河童の恩返し』というネタをやったりしてました。それを小さんが舞台袖で聞いていて、『つまんねえ噺はやるな』と怒られました。照れながら河童を演じていたのがわかったようです。小さんは狸が出てくる噺を、『狸の了見でやる』と言いましたが、僕は河童の了見になれなかったのでしょう」

 試行錯誤の時期が数年間続いた。 (つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋