名前が九だから縁起を担いで9歳から落語を覚えさせられた

公開日: 更新日:

 花緑の母親は先代小さんの娘だ。花緑こと本名小林九は、小さんの孫であることで、落語家になる定めにあったという。

「母は2人の息子のどちらかを落語家にしたいと思っていたようです。兄の十市はバレエダンサーになったくらいの整った顔立ちですから落語家向きじゃない。その点、僕はいかにも落語家向きの顔の子供だった。名前が九だから、縁起を担いで9歳の年から落語を覚えさせられました」

 その頃、新宿末広亭で催された小さん一門会を見に行ったら、小さんの孫が高座に上がって「大工調べ」をやり始め、小さんの形そのまま演じたのに驚いた。その少年が花緑だったのだ。

「あれを見られちゃいましたか。当時、母親と僕は目白の小さん宅に同居してました。世話係が師匠の内弟子の小幸さん。現在の落語協会会長、柳亭市馬です。僕はよく忘れ物をする子だったんで、学校に届けるのも世話係の役目でした。教室に入ってくると、クラスの悪ガキたちが、『また弟子が来た!』ってちゃかす。市馬兄さんはそれがとっても嫌だったみたいです」


 当欄で市馬にインタビューした際、当人からその話を聞いた。市馬が花緑を語る時の優しい表情が印象的だった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった