「歩いても歩いても」 希代の名脇役が演じる母の“心の闇”

公開日: 更新日:

 本作の面白さはファミリードラマと正反対の生身の感情が湧き出ることだ。その中心がとし子。ゆかりに高価な着物を譲りながら、良多が子連れの女と結婚したことに納得できない。だから子づくりを諦めるよう、ゆかりを諭す。純平に救われた青年が毎年訪ねてくることについて、良多が「彼も苦しんでる」と言うと、「だから呼んでんじゃないの。10年やそこらで忘れてもらっちゃ困るのよ」と冷たく答える。昼間はかいがいしく孫の面倒を見ているが、夜になると冷徹な顔に。この母親の心の闇が見る者をぞっとさせるのだ。

 だが、とし子は昼間は気のいいおばあちゃんに戻る。メリハリの利いた明と暗の落差は樹木希林ならではのもの。主人公をとし子と考えて見たほうが本作のエッセンスを理解しやすい。 (森田健司)

(C)2008 「歩いても 歩いても」製作委員会

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  1. 6

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  2. 7

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  3. 8

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  4. 9

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  5. 10

    永野芽郁がキャバ嬢で「復帰」もM!LKファンやきもき…共演するかもしれない佐野勇斗への“キラー”ぶり警戒