「モーリス」 杉田水脈のLGBT差別に通じる同性愛への偏見

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1987年 ジェームズ・アイボリー監督

 杉田水脈(自民党)のLGBT差別論文で「新潮45」が休刊に追い込まれた。そんなおり、本作がKADOKAWAから初めてブルーレイ化された。男の同性愛の物語だ。英国の上流階級の文化と厳格な身分制度が美しい映像で描かれている。

 1909年、英国ケンブリッジ大の学生モーリス(ジェームズ・ウィルビー)は学内で美しき青年クライブ(ヒュー・グラント)と出会う。クライブは同性愛に文学的理解を示す知性派だ。2人は引かれ合い、深い関係になる。

 卒業後モーリスは株の仲買人、クライブは弁護士の道を選ぶ。ある日、学友のリズリー卿が同性愛の行為をしただけで逮捕され、社会的地位を失った。クライブは自分の性に後ろめたさを覚えて女性との結婚を決意。孤独をかみしめるモーリスに若い猟場番が近寄るのだった……。

「ブロークバック・マウンテン」(05年)、「君の名前で僕を呼んで」(17年)など同性愛の苦悩を扱った映画はいくつかある。その中で本作が秀逸なのは20世紀初頭の英国の偏見を描写しているからだ。「同性愛者はムチ打ちされて懲役刑を受ける」「以前は死刑だった」というセリフが登場。モーリスが医師に性の悩みを相談すると「汚らわしい」と罵倒されてしまう。リズリー卿の逮捕は新聞で大々的に報じられた。松柏社の「映画でわかるイギリス文化入門」(板倉厳一郎ほか著)によると、英国では同性愛は1967年まで違法で、劇作家のオスカー・ワイルドは禁錮2年の刑に服したという。

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