「暗殺のオペラ」ムッソリーニと戦った亡父は誰に殺された

公開日: 更新日:

 物語は現在と過去を往復しながら、父アトスの死の真相に近づいていく。同時に民衆が不審な動きを見せ、暗殺の裏に複雑な事情があることを暗示。物語の本質は英雄伝説の裏に虚構が潜んでいるということだ。

 本作の怖いのは英雄の実像が小心者で、3人の同志だけでなく、町の人々が真相を知りながら伝説を信奉していること。一種の集団心理だろう。

 こうしたみんなでダマされる心理は村落共同体によくある。映画「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」(13年)も同じ。問題のぶどう酒を売った女性も買った村人も、その村人と会った別の女性も事実が歪められたことを認識している。他の村民たちも同じだろう。だが人は不合理な供述を信じてしまう。

 本作はラストがポイントだ。先ほどまできれいだった線路が雑草に埋め尽くされたのは駅が稼働していないことを示している。老人が守る亡霊の町――。だから若いころの登場人物がいまと同じ老け方なのだろう。 (森田健司)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    活動終了「嵐」メンバー「消える人」と「生き残る人」…“一番先行きが厳しい”のは?

  2. 2

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  3. 3

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  4. 4

    メジャー屈指の不人気球団が佐々木麟太郎を指名…“銭ゲバ”マーリンズの黒歴史

  5. 5

    ビートルズよりもストーンズよりもすごいバンド、ラトルズ!

  1. 6

    女性を巡る愛憎より友情が勝った永遠のバディー

  2. 7

    “スジ悪”すぎる副首都法案のボロが露呈…国会審議で維新の「大阪ありき」に集中砲火

  3. 8

    48年ぶり映画出演の由美かおるさんが語る 人生が変わった瞬間「11PM」「水戸黄門」エピソード

  4. 9

    はつらつプレーで4人に音楽の喜びを取り戻させた陰のMVP

  5. 10

    木原稔官房長官「国会会期延長必要ない」が波紋呼び修正…失言連発で“調整役”として機能せず