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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

18年“見るべきドラマ大賞”は石原さとみ「アンナチュラル」

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 同時期には石原さとみ主演「高嶺の花」(日本テレビ系)もあった。野島伸司の脚本に期待したが、華道家元のお嬢さま(石原)と自転車店店主(峯田和伸)の格差恋愛で本当は何が描きたかったのか、結局不明のままだった。

 10月クールで内容が賛否両論となり注目を集めたのが、金子ありさ脚本「中学聖日記」(TBS系)だ。中学校の女性教師(有村架純)と生徒(岡田健史)の恋愛。たとえタブーと呼ばれても、人の気持ちは止められない。しかし、有村が演じるヒロインに視聴者の共感を得るだけの覚悟が希薄で、ドラマ全体が迷走しているように見えたことが残念だ。

 一方、ベテランの大石静が脚本を書いた「大恋愛~僕を忘れる君と」(同)は、単なる難病モノを超えた秀作だった。若年アルツハイマーのヒロイン(戸田恵梨香)と、それを支える男(ムロツヨシ)の覚悟には、最後まで見届けたいと思わせる現代性と切実感があったのだ。また戸田とムロの予想を超える好演も功を奏した。

 女性脚本家たちの活躍と“おっさん”が旋風を巻き起こした平成最後のドラマ界。栄えある「見るべきドラマ大賞」は、野木亜紀子脚本・石原さとみ主演「アンナチュラル」に贈りたい。

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