亡くなって37年…師匠への愛情が名作「彦六伝」を生んだ

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 よく出来た面白い噺だから不滅なのか。いや、それだけではない。この噺は木久扇の師匠に対する愛情が伝わるから、どんな観客にも受けるのだと思う。

「確かに僕の師匠への愛が詰まってます。声色をするんでも、対象への愛があると似てくるもんです。僕の『昭和芸能史』という噺の中で、片岡千恵蔵先生の遠山の金さん、市川右太衛門先生の旗本退屈男、アラカン(嵐寛寿郎)先生の鞍馬天狗のセリフを声色でやる。これらもチャンバラスターだった先生方を心底、敬愛しているから似てるんだと」

 声色をやっているうち、ご当人に会えたという。

「千恵蔵先生と右太衛門先生、東映の両御大に会えました。アラカン先生とは何度もお会いしていろんな物を頂戴しました。鞍馬天狗は大喜利の際の自己紹介で、『杉作、日本の夜明けは近い』とアラカン先生の声色でやったのが定番になりました」

 木久扇は古典落語の登場人物を声色でやることもある。お殿様を長谷川一夫、家老を大河内伝次郎、百姓を彦六で演じる「目黒の秋刀魚」などは爆笑ものである。

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