著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

AKB48から純烈まで ファンとの距離を縮めた歌謡界の今後は

公開日: 更新日:

 芸人には修業の場として専用劇場や寄席がある。役者も大小あるが舞台がある。みんなそこから這い上がってくる。梅沢富美男率いる劇団も専用劇場からスターの座を掴んだ。対照的に歌謡界は専用劇場がない。かつての歌謡界は、全国各地にあった大箱キャバレーなど夜の街が専用劇場のようだった。五木ひろし、森進一ら後のスター歌手も、無名時代は酔っぱらい客の前で歌いスターの階段を駆け上がった。時代は移り、今は大箱の店もない。いきなり大きな劇場でデビューできるのはジャニーズぐらいしかいない。

 劇場も店もない。代わって出現したのがスーパー銭湯や健康ランド。銭湯ブームもあり、すでに過当競争の時代。集客対策として白羽の矢が立ったのが駆け出しの歌手たち。

「名の通った歌手はプライドにギャラの問題もあり、なかなか出たがらない。無名歌手なら歌える場所があるだけありがたいと出る」(音楽関係者)

 こうして生まれたのが異色の5人組の中年アイドル純烈」だった。銭湯ファンのおばちゃんたちの目に留まり、口コミで人気が広がる。「スーパー銭湯アイドル」と呼ばれるまでになった。キャバレーに代わり、歌手が日の目を見る場所が銭湯になった。メンバーの不祥事で4人になったが、心機一転、銭湯回りを再開。どんなに売れても原点を大切にする。底辺から這い上がってきた歌手の強み。皮肉にも事件で銭湯がさらに注目を浴び、「今後は新人だけでなく、既成の歌手も銭湯進出者が出てくるだろう」(前出の関係者)と言われている。

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