マッチングアプリの嘘が裁かれた「貞操権の侵害」って何?
恋愛と法律。一見関係なさそうでも、現代では深くつながることがあります。
先日、東京地裁で興味深い判決が出ました。マッチングアプリで出会った男性に「独身」と嘘をつかれて交際し、関係を持った女性が、その事実を後に知って大きなショックを受けたとして損害賠償を請求しました。裁判所は、男性の行為が「貞操権の侵害」にあたるとして、約150万円の支払いを命じました。
この「貞操権」、少し昔ながらの言葉に聞こえるかもしれませんが、実は法的にも認められている重要な権利です。簡単に言えば、「誰と性的な関係を持つかを、自分の意思で決める自由」を守るためのものをいいます。相手の重大な嘘によってその判断がゆがめられた場合、権利侵害として損害賠償の対象になり得ます。
今回のケースでは、女性が「真面目な交際」を希望していると知りながら、男性が既婚であることを隠し続けたこと、そして交際期間中に複数回関係を持っていたことが大きな判断要素となりました。裁判所は、こうした行為が「意図的に真実を隠し、性的関係に及んだものであり、故意の不法行為にあたる」と認定しました。


















